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最高裁判所第一小法廷 昭和29年(あ)107号 決定

主文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人等の負担とする。

理由

被告人両名の弁護人五井節蔵の上告趣意第一点、第二点は違憲をいう点もあるが、結局は原審が所論の点につき、職権調査をしなかった訴訟法違反があるというに帰し(なお、検察官に対し意見陳述の機会を与えさえすれば、何等意見を述べなくとも差支えないものであることについては、当法廷判決、判例集二巻一三号一八〇四頁以下を参照。また、所論調書等につき証拠決定及び証拠調がなされたことは記録上明白であり且つ所論意見を聴いたことは公判調書の記載事項でないこと刑訴規則四四条によって明らかであるから、公判調書に記載がないからといって意見を聴かなかったとはいえない。)同第三点は、事実誤認の主張であり、同第四点は、違憲をいう点もあるが結局量刑の非難を出でないものであって、いずれも、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四一四条、三八六条一項三号、一八一条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 斎藤悠輔 裁判官 真野 毅 裁判官 岩松三郎 裁判官 入江俊郎)

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